消化器外科医のための抄読会のネタブログ

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コーヒーを飲むことにより、StageIII大腸癌補助化学療法の予後を改善する。

Coffee Intake, Recurrence, and Mortality in Stage III Colon Cancer: Results From CALGB 89803 (Alliance)

 2015 Nov 1;33(31):3598-607.


目的

これまでの観察研究において、高インスリン血症や運動不足の生活、肥満、脂質の多い食生活が結腸癌の再発を増加させることが示されている。コーヒーの摂取により、2型糖尿病の発症リスクが低下し、インスリン感受性が増加することが言われてきた。大腸癌の再発や生存成績に対するコーヒーの効果についてはまだわかっていない。


方法

5FU+LVにCPT-11の上乗せ効果を検証した第3相ランダム化試験であるCALGB89803に参加した953例のStageIII大腸癌症例を対象とした。化学療法中や後6か月間に摂取したカフェイン入りコーヒー、デカフェコーヒー、ハーブティー以外のティーなど128種類のアイテム摂取量が前向きに収集された。コーヒー、ティーとカフェインががんの再発や生存に与える影響をCox比例ハザードモデルを用いて検証した。


結果

1日4杯以上コーヒー(カフェイン入りまたはデカフェ)を消費する患者は1杯も摂取しない患者と比較して、癌の再発または生存に対するハザード比が0.58(95%CI=0.34-0.99, p=0.002)であった。1日4杯以上のカフェイン入りコーヒーを消費する患者は1杯も飲まない患者と比較して、癌の再発または生存に対するハザード比が0.48(95%CI=0.25-0.91, p=0.002)であった。またカフェイン摂取量が増加することで癌の再発や死亡のリスクが有意に減少した(HR=0.66, 95%CI=0.47-0.93, p=0.006)。ティーやデカフェコーヒーは患者の治療成績とは関連しなかった。総コーヒー摂取量と治療成績改善との関係は癌の再発や死亡の別の予測因子を通じても一貫していた。

 

結語

コーヒー摂取量が高いことはStageIII大腸癌患者の有意な再発や死亡の低下と関連している可能性がある。