読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

消化器外科医のための抄読会のネタブログ

私の夢は毎週の抄読会がなくなることです。

StageII/III結腸癌における腹腔鏡下 vs 開腹D3郭清術のランダム化第3相試験:JCOG0404

今回は、日本のPhaseIII試験の論文を読んでみました。最近は製薬会社の協力を得ないと臨床試験も予算的に難しくなってきており、必然的に化学療法の臨床試験が多くなってしまいます。医師主導の手術のRCTはあまり行われないため、本試験は貴重な結果だと思います。

 

 

f:id:Yujiman:20170210105420p:plain

 

Survival outcomes following laparoscopic versus open D3 dissection for stage II or III colon cancer (JCOG0404): a phase 3, randomised controlled trial

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2468125316302072

 

Introduction

  • 欧米ではすでに結腸癌に対する腹腔鏡手術は有効であるとみなされている。
  • 短期成績では腹腔鏡手術の方が術後疼痛が少ない、イレウスが少ない、創感染が少ない、回復が早いなどのメリットが言われている。
  • さらに長期成績もいくつかのランダム化試験で、腹腔鏡と開腹手術で大差ないことが示されている。
  • しかし、これらの試験はTotal mesocolic excisionという手術手技が確立する前のもので、pStage0-Iが含まれていたり、直腸癌が含まれていたり、リンパ節郭清範囲が特定されていない欠点がある。
  • JCOG0404はD3郭清における腹腔鏡手術の開腹手術に対するOSの非劣勢を検証した試験で、StageII/III大腸癌に限定して行われた。

Methods

  • 多施設共同ランダム化第III相試験
  • C-Rsまでの大腸癌で、Tは除外
  • 腫瘍部位と施設で層別化し、非盲検
  • StageIII症例は5FUベースの術後化学療法を施行
  • 主要評価項目:OS
  • 副次評価項目:RFS、短期成績(別論文で発表済み)
  • サンプルサイズ:当初はイベント数254例、5年OSを75%と見積もり、818例と設定していた。しかし、試験開始後に予想よりイベント数が少なかったため、1050例に増加させた(5yrOSを82%と見積もった)。
  • αエラー(片側):5% 検出力:0.8
  • non-inferior margin 1.366
  • 手術時の写真やビデオを中央判定することで、手術のクオリティーを担保した。

Results

  • ITT症例は開腹群528例、腹腔鏡群529例であった。
  • 2群間の患者背景に差はなかった。
  • 腹腔鏡手術から開腹手術への移行は5%であった。
  • ITT症例における5年OSは開腹群で90.4%、腹腔鏡群で91.8%であった。
  • 開腹に対する腹腔鏡群のOSのHRは1.06 (95%CI=0.79-1.41,P non-inferior=0.073)で腹腔鏡手術の開腹手術に対する非劣勢は証明されなかった。
  • OSのサブグループ解析では、cT4、cN2、BMI25以上の症例が腹腔鏡で予後不良の傾向にあった。
  • 5年RFSは開腹群で80%、腹腔鏡群で79%であった (HR1.07, 95%CI=0.82-1.38)。
  • 開腹群 vs 腹腔鏡群の再発臓器別の頻度は肝転移:44% vs 40%、肺転移:35% vs 33%、腹膜播種:11% vs16%、リンパ節:13% vs 15%。

Discussion

  • 今回のstudyでは腹腔鏡手術の開腹手術に対する非劣勢は証明できなかった。
  • しかし、これはOSが予想よりよかったことに起因しており、両群のOSは似通っているため、腹腔鏡下D3手術はStageII-III結腸癌に許容されうると考えられる。
  • もし、5年OSを90%と見積もってサンプルサイズを計算しなおすと、2500例以上さらに必要になるため、実現不可能である。
  • 再発後の治療についてはデータを集積しておらず、2群間で異なっていた可能性がある。
  • 他のこれまでの第3相試験と異なる点はStageII/IIIに限定したこと、D3郭清という独自の郭清法を行ったこと、術後化学療法をプロトコールとして行っていること、手術のクオリティーを担保していることである。
  • Rs、T4、N2、肥満症例で腹腔鏡の予後が悪かったが、特にT4症例は腹腔鏡の適応に慎重になるべきである。
  • この試験の結果からは、開腹手術が標準で、腹腔鏡はオプションで許容されうる。

 

コメント

手術のクオリティーを担保したのが日本的でよかったのではないでしょうか。臨床試験をどう計画するかは難しいです。StageIIIのみに限定するか、RFSを主要評価項目にすればよかったのでしょうか?