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消化器外科医のための抄読会のネタブログ

私の夢は毎週の抄読会がなくなることです。

進行大腸癌に対する抗IL-1a抗体薬療法: 第3相ランダム化試験

いやいや少しお休みしてしまいました。今回は進行大腸癌症例に対する症状緩和を目的とした治療の論文です。MABp1は進行がん患者の症状緩和を改善するとともに、抗腫瘍効果も期待されるとPhaseI試験の結果から予想されていました。今回の論文はPhaseIII試験の結果となります。勢い込んで読んでみたものの、内容が複雑で時間がかかってしまいました。

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MABp1 as a novel antibody treatment for advanced colorectal cancer: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 study

Lancet Oncol. 2017 Jan 13

 

Introduction

  • インターロイキン1αは癌に対する局所的、全身的な影響を持ち、有望な癌治療のターゲットであり、癌細胞や浸潤リンパ球により発現されることで、癌の微小環境における炎症性シグナルの重要な要素でもある。
  • インターロイキン1αやそれにより誘導されるIL-6などのサイトカインは発熱、倦怠感、食欲不振や急性期の蛋白発現を引き起こす。また、糖新生や除脂肪体重の減少のみならず、骨格筋の減少も引き起こす。
  • MABp1はインターロイキン1αを特異的に標的とし、中和するモノクローナル抗体免疫療法剤である。
  • MABp1は単剤治療で32%の進行がん患者で病勢コントロールされ、癌特有の症状である倦怠感や痛み、食欲不振を改善する。特に体重増加が特筆すべき所見であった。
  • このような種類の症状改善は、臨床的評価項目としての使用できる評価法かもしれない。

 

Methods

  • このPhaseIIIプラセボ対象ランダム化試験はEUとロシアの42の外来化学療法施設で施行された。
  • 対象症例配下の通り
    • オキサリプラチンとイリノテカンが不応。
    • EOCG-PSが1または2。
    • 過去6か月間で20%の体重減少あり、または血中IL-6濃度が10pg/ml以上。
    • 食欲不振、倦怠感、痛み、情緒機能や社会的な役割の減少(EORTC QLQ-C30)がすくなくとも1つ以上認められる。
    • 臓器機能が保たれている。
  • MABp1またはプラセボ療法に2:1で割り付けられた。
  • 主要評価項目はMABp1(またはプラセボ)を投与された患者における、ベースラインからの投与8週後の状態を評価(図参照:体重減少なく、かつEORTC QLQ-C30で2つ以上の症状が増悪ない場合を主要評価項目に達したと判断)

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  • MABp1は7.5mg/kgを2週ごとに8週間投与。プラセボも同様。
  • プロトコール期間は8週で、その後は両群ともにMABp1が使用可能。

 

Results

  • 333例が割り付けられ、1回以上治療を受けた症例がMABp1群で207例、プラセボ群で102例であった。2群間の患者背景に差はなかった。
  • 主要評価項目に到達した症例はMABp1群で68例(33%)、プラセボ群で19例(19%)であった (relative risk 1.76, 95% CI 1.12–2.77, p=0.0045)。
  • 体重減少、疼痛、倦怠感、食欲不振の各項目を個別に2群間で比較すると有意差は認めなかった。
  • EORTC QLQ-C30スコアも2群間で差がなかった。
  • 8週後におけるIL-6値と血小板値の増加の程度はプラセボ群が有意に大きかった。
  • 8週後の時点でSDであったのは、MABp1群で35例(17%)、プラセボ群で12例(12%)であった(HR=1.26, 95%CI=0.93-1.73, P=0.14)。CR/PR症例は両群ともに認めなかった。
  • OSはMABp1群で6.1か月、プラセボ群でプロトコール治療終了後もMABp1の投与を受けなかった症例は2.4か月であった(log-rank p-0.0002)。
  • 全症例において、主要評価項目に達した症例と達しなかった症例を比較すると、主要評価項目に達した症例のOSは11.5か月、達しなかった症例のOSは4.2か月で会った(HR=0.31, 95%CI=0.20-0.48, p<0.0001)
  • -rade3/4の有害事象で最も発生率が高かったものは貧血(MABp1群 vs プラセボ群=4% vs 5%)、ALP上昇(4% vs 2%)、倦怠感(3% vs 7%)、AST上昇(3% vs 2%)であった。
  • 治療8週後にはMABp1群で8%、プラセボ群で11%が死亡したが、治療関連死亡は認めなかった。
  • 重篤な有害事象の発生は両群間で差は認めなかった(23% vs 32%, p=0·07)。

Conclusions

  • 今回使用した主要評価項目は臨床上有用な結果を示した。MABp1は進行大腸癌に対する新しい標準的マネージメントになるかもしれない。

 

とにかく、このような緩和医療の臨床試験はいろんな評価項目があって、読むのが大変でした。間違って理解しているところがあるかもしれません。PROまで加わってくるともう何が何やらわからなくて、まだまだファジーな分野だなと思いました。

今回の主要評価項目に関しては到達症例と非到達症例で予後にかなり差が認められました。8週間は必要ですが、1st-lineの治療においても予後予測因子になり得るのではないかと思いました。

MABp1は抗腫瘍効果もあり、副作用もほとんどないので、他の薬剤との併用も興味があるところです。

Methodsの箇所はCONSORT に沿って詳しく書かれているなと思いました。