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消化器外科医のための抄読会のネタブログ

私の夢は毎週の抄読会がなくなることです。

肝限局転移を伴う切除不能大腸癌におけるFOLFOXIRI+Bmabの効果

もうクリスマスも終わって、あとは仕事納めだけです。ブログを初めて2か月近く経過しましたが、通常業務とのバランスが難しい今日この頃です。今年1年いろいろなことがありましたが、ほとんど忘れてしまいました。つらいことは忘れたほうがいいですもんね。

切除不能大腸癌の治療成績はOSが30か月を越して、以前の成績と比較するとかなり改善してきているといわれています。しかし、自分としては、切除不能大腸癌でも根治を目指す治療を行いたい。自分だったらきつい治療でもいいから、可能性は少なくてもいいから、完全に治して長生きできる治療を試したい(腫瘍内科の先生からはこんな考えはおこられるかもしれません)。ということで、今回は根治を目指すための集学的治療に関する論文が2編もでているので、それを読んでみました。

1編目はイタリアのグループからの論文です。

 

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Efficacy of FOLFOXIRI plus bevacizumab in liver-limited metastatic colorectal cancer: A pooled analysis of clinical studies by Gruppo Oncologico del Nord Ovest

Eur J Cancer. 2016 Dec 13. pii: S0959-8049(16)32534-5.

 

Introduction

  • 切除不能大腸癌に対する1次化学療法には、テクニカルに切除可能となるよう腫瘍縮小させる、微小転移病変を根絶させる、再発のリスクを下げて長期予後を改善させるなどの目的がある。
  • イタリアGONOグループは、3剤併用のFOLFOXIRIレジメンがConversion率を増加させ、長期予後をもたらすことを報告してきた。
  • さらに近年、FOLFOXIRI+Bmab療法が、FOLFIRI+Bmabと比較して奏効率、PFS、OSを有意に改善することを報告した。
  • 肝限局転移を有する切除不能大腸癌に対し、FOLFOXIRI+BmabとFOLFOX+Bmabをランダム化比較したPhase II OLIVIA 試験では、FOLFOXIRI+Bmab群でR0切除率が有意に高かった。
  • 今回の統合解析では、GONOグループで行った3試験(TRIBE試験、FOIB試験、MOMA試験)のうち、肝限局転移を有する切除不能大腸癌に対するFOLFOXIRI+Bmabの臨床成績を解析することを目的とした。

Methods

  • 切除不能大腸癌に対しFOLFOXIRI+Bmabを行った、FOIB試験(57例)、TRIBE試験(252例)、MOMA試験(232例)の中から、登録時に肝限局転移であった症例のみを選択した。
  • 転移状況の評価は多職種チーム(Multidisciprinaly team)で行われた。
  • FOLFOXIRI+Bmabの予定投与クール数はFOIB試験とTRIBE試験で12コース、MOMA試験で8コースであった。
  • 肝切除前はBmab投与を最低5週間控え、肝切除後には術後補助療法として、FOLFOXIRI+Bmabを合計12クールとなるまで投与した。

Results

  • 541例中205例(38%)が肝限局転移症例であった。
  • 患者背景としては同時性転移(90%)、4つ以上の肝転移数(61%)、両葉転移(79%)、転移巣サイズ5cmより大きい(42%)、7区域以上にまたがる転移巣(25%)、原発巣切除済み(64%)、RAS変異型(58%)、BRAF変異型(12%)であった。128例(62%)は残肝の脈管を巻き込んでいるため、切除不能と判断された。46例(22%)はOncologicalな理由で切除不適と判断された。残りは詳細不明であった。
  • 奏効率69%、病勢コントロール率 93%、8週以内の早期奏効率42%、R0切除率30.7%、R1切除率5.4%、R2切除率8.3%であった。15例はRFA併用であった。
  • 切除可能となる予測因子は、多変量解析において6区域未満にまたがる転移巣、RECIST判定で奏効が得られた症例が同定された。
  • R0/R1切除症例はその他の症例と比較して有意にPFSの延長が認められた(18.1 vs.10.7M, HR: 0.48 [95%CI 0.35-0.66], P<0.001)。(このPFSは肝切除時に打ち切りにせず、肝切除後の再発をイベントに含んでいると考える)。R0症例とR1症例ではPFSに有意差を認めなかった。R0症例の5年無増悪生存率は12%であった。多変量解析ではR0/R1切除はPFSの延長に有意に関連していた(HR: 0.60 [95% CI: 0.41-0.89], p = 0.012)(Tableと本文で値が異っている。もしかしたら本文はR0/1/2切除のことを言っているのかもしれない)。
  • OSに関しても、R0/R1切除症例はその他の症例と比較して有意にOSの延長が認められた(44.3 vs 24.4M, HR: 0.32 [95% CI: 0.22e0.48], p < 0.001)。R0症例とR1症例ではOSに有意差を認めなかった。R0症例の5年生存率は43%であった。多変量解析ではR0/R1切除はOSの延長に有意に関連していた(HR: 0.32 [95% CI: 0.19-0.54], p < 0.001)(Tableと本文で値が異っている。もしかしたら本文はR0/1/2切除のことを言っているのかもしれない)。
  • 切除標本組織診断の中央判定が可能であった54症例について解析を行った。9%の症例でpCRが認められた。TRG(tumor regression grade) grade1/2、3はそれぞれ41%、37%の症例に認められた。肝切除を施行した症例でTRG grade5(効果なし)は認めなかった。類洞拡張は69%(重症9%)、脂肪肝は44%に認められた。組織学的治療効果が良好な症例は予後も良好な傾向があった(Figure 2)。
  • R0/R1切除を施行した74人中の53例が再発し、30例が死亡した。無再発生存期間中央値は11.4か月で肝切除後の全生存期間は49.7か月であった。患者背景でそれらと関連する因子は肝切前のNordlinger及びFongスコアも含めて存在しなかった。
  • RAS変異並びにBRAF変異の有無は肝切後の無再発生存期間、全生存期間に関連しなかった。

Discussion

  • 化学療法後の肝切除率の解析には、対象症例の切除不能の定義に個人間変動があることがよく知られている(後で肝切除のエキスパートがみると、切除可能であることが多い)。しかし、本研究に含まれる3試験はPotentially resected liver metastasisを対象とした試験ではなく、最初から切除不能大腸癌症例が対象となっており、この点で信頼がおける。
  • 肝限局転移を有する切除不能大腸癌を対象としたPhaseII OLIVIA試験でもFOLFOXIRI+Bmab群で肝切除率61%、R0切除率49%と良好な成績が得られている。他の抗EGFR抗体薬+2剤併用化学療法のphaseIII試験の成績と比較して、FOLFOXIRI+Bmabのほうが良好な結果が得られているように思われる(本研究には予後不良因子であるRAS変異症例やBRAF変異症例が含まれているにもかかわらず)。
  • BRAF変異症例において、肝切除後のRFS、OSがその他の症例と比較して変わりなかった。これはFOLFOXIRI+Bmabが微小転移を強く抑えることで、BRAF変異型大腸がんのような予後不良な腫瘍の影響を相殺していると考えられる。
  • FOLFOXIRI+Bmabは肝限局転移を伴う切除不能大腸癌症例において、高い奏効率と肝切除率が得られ、予後良好な成績を示した。

 

なんか読みにくかったのは忘年会疲れでしょうか。。ちょっと気力を大量に失いました。私が知りたかったことはFOLFOXIRI+Bmabで5年無増悪生存率が12%であるということです。まー肝限局転移の人の1/10は根治が目指せるということですね。再々切除した症例もあるでしょうからもう少し増える可能性もありますけど、なんかまだまだ道のりは遠いです。大掃除しよ。