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消化器外科医のための抄読会のネタブログ

私の夢は毎週の抄読会がなくなることです。

KRAS変異大腸癌に対する養子免疫療法

切除不能大腸癌

T-Cell Transfer Therapy Targeting Mutant KRAS in Cancer
EricN Engl J Med 2016 375:2255-2261

 

先週のNEJMにまた新たな免疫療法の成績が報告されました。これは現在話題になっている抗体療法ではなく、TIL(tumor infiltrating lymphocytes:腫瘍浸潤性リンパ球)療法というものです。TIL療法とは、がん周囲に集積しているリンパ球などの免疫細胞を採取し、それをIL-2など共に培養して体内に戻す方法らしいです。すでに癌を認識している免疫細胞を使用するため、効果が得られやすいという考え方です。今回の論文ではKRAS mutant G12Dを持つ切除不能大腸癌症例に対して、 特異的な自家腫瘍由来 T 細胞を移入し、奏効を示した症例の症例報告みたいです。

 

 抗腫瘍リンパ球の養子細胞移入の詳しい手順については読んでも全くわかりませんでした。ほかの教科書を見ての想像ですが、

  • 腫瘍切除し、腫瘍内浸潤リンパ球を体外ex VIVOで調製して殖やす。
  • これら不均質なTILs集団 をTマイク口タイターウェルでのサブク口ーニングによって分離する。
  • サ ブク口二ングした集団の中から、KRASG12D変異ペプチドに曝露した後にインターフエロンを豊富に産生するものを同定する。
  • 適切な増殖因子の存在下で培養し、試験管内で十分に増やす。 

の手順ではないかと思います。

結果

  • 投与40日後の検査では7つの肺転移全てが縮小していた。
  • 9か月後には6つの病変が縮小を維持していた。
  • IL-2投与の影響から回復後は有害事象は認められなかった(IL-2を同時に投与するようである)。投与後2週間で退院した。
  • 9か月後に増大傾向の1病変と、その近傍にある縮小した病変1病変を切除したところ、縮小病変にはvariableな癌細胞は認めなかった。
  • 9 ヵ月後に増大していた病変には、この T 細胞が認識する主要組織適合遺伝子複合体クラス I の発現がみられなかった。

 

たった1例の症例報告ですが、治療が奏功しているためかNEJMに掲載されています。大腸癌のPD-1抗体もたった1例の奏効例からMMR欠損症例に絞られたのを思い出しました。やはり1例1例が大事だなと思わせる報告でした。免疫療法の勉強もっとしないといけません。